小中学生に向けてPID制御を扱う目的

YoutubeにPID制御に関する動画をアップしました。

技術的な話はもっと専門性の高い動画がたくさんあるので、そちらをご覧いただく方が勉強になるのですが、敢えて違う路線にしたのは意図が別にあるからです。その辺を書いていきます。

PID制御とは

PID制御とは、比例と積分と微分の考え方を使ってロボットやシステムを安定させるための制御です。この微分・積分という言葉が並んだ時点で拒否感が出る人は多いと思います。

どうしてそういう感覚になるんでしょうか。

文系が生まれやすい日本の教育

文系と理系の比率

確か、理系を5割にしたいとかいう目標があって、2020年の教育改革の時の話に出ていた数字だったと思います。と言うことはそれより下ということで、昔は2割くらいって言われていた記憶があるのですが、今でもそれほど変わってないと思います。

調べてないので、それってあなたの印象ですよね?って言われても、そうですね。としか言えませんが・・・

文系のイメージ

純粋に文系が得意やその先の将来を考えて選んだ人は、ここでは当てはまりません。

消去法で選ばれた文系というとまだマイルドでしょうか。理系のなりそこないの文系と言ってしまった方がいいでしょうか。ちょっと強めの言葉ですが、事実として存在していることから目を逸らしていては解決しないと思います。

まあ、一部の(多くの?)文系はそういうことです。というまたまた印象論ですが、結構共通認識だと思います。

文系が多い弊害

日本は未だにIT後進国、という一言でいいんじゃないでしょうか。仕事で自分の業務ですら使えない人、まだまだ多いです。文系社長が技術者を・・・というのは、一部は言い過ぎとは思いますが、決して陰謀論ではないと思います。

数学を勉強する意味、数学が社会の何に役立ってるか?子供に対しての説明責任が大人にはあると思います。

理系指導のまずさ

それでも増えない理系

難しい、ということが価値になっていそうな理系ですが、就職に有利と言われても増えてきませんでした。

そもそも、本当に難しいのかどうかは検討すべき課題だと思います。数学も物理も、実際は特別な科目では無いはずです。そう思われてしまう原因は山ほど心当たりがありますが。

理系的な感覚の育成といえば聞こえが良いかもしれませんが、要するに、数字(数量?)に対する感覚が鍛えられたかどうか、ですね。

数学や物理を文字のパズルや暗号と思わせる指導が多すぎます。

一例として「はじき」

「はじき」とは速さの問題で出てくる公式みたいなパターンマッチングで解く方法です。「みはじ」とかいう意味不明な言葉になっている場合もあります。割合では「くもわ」とかもあるそうです。これを嬉々として教える指導者は多いです。

自身もそれでクリアしてきたからでしょう。でも、そうやってクリアしたから、時速の意味を説明できないという欠点に気付けなくなっています。時速は1時間で進む距離を示したものなので、その意味さえ伝われば、時速60kmで進む車が30分でどれだけ進むか?と聞かれたら、半分で良いんだとすぐに解答できます。算数が得意な子であれば、小学2年生くらいでも解答できます。

高い割合で、はじきはこの思考を奪います。

タチが悪いのは、できる子ははじきを知っても知らなくても解けますが、微妙なラインの子がパターンマッチングに吸い取られ、あとは蟻地獄のように抜け出せない間違った勉強方法を学習してしまいます。

はじきだけの問題で済みません。その先もできる限りパターンマッチングで解く方法がないかどうかを考えるようになったら、もう全ての教科において脱落していきます。

一応、考える学習にシフトしていっているようですが。でも、まだまだこの手の指導は消えてませんし、それで(その場は)できるようになる子がいるんだから良いじゃないかと言ってくる人、居ますからね。

ロボットプログラミング教室としてのアプローチ

高度な活動をするための土台作り

ロボットで社会問題にアプローチするとか、自分のイメージを具体化して人にアピールする、とかいう壮大なテーマを作り出すこともできますが、もっと土台となる力の育成に重点を置きたいなと思っています。

壮大なアプローチでも、その活動過程で学べることはたくさんありますが、軸足を意識せずに運用するからハマる子とそうではない子の学びの格差が酷いなぁというのが私の経験による感想です。そういう活動の裏がハリボテなんて、笑えませんからね。それこそ趣味の習い事で良いのですが。

実力がないのをアイデアで勝負するのではなく、実力がある上でアイデアで勝負した方が質がいいでしょ?というのが私の基本的な考えで、その実力を鍛えるのがこの教室の役割です。

PIDを覚えるのではなく理解する

プログラミングは言語独自の作法がありますけど、突き詰めたら自分の意図した動きをどう言語化していくかです。相手が人ではないので融通が利きませんが、その分、自分の考えの抜けをバグやエラーという形で指摘してくれます。

PID制御は微分や積分という言葉が出てくるものの、高校数学で出てくる内容より遥かに易しい内容に砕けます。ただし、原理を理解していなければ調整もままなりません。それこそパターンマッチングでは絶対にできません。ロボットの形一つ変わるだけで調整が変わりますからね。そう言う授業にしてこそ、ですが。

今回の動画では倒立振子ですが、ライントレースにするだけで、理屈を覚えたかどうか確認できますし。この二つを通して、違いを見て基本を理解すると言う方法にもできますし。

PID制御を取り入れた意図

数字を意識しつつ、直前の動作や過去の動作をどう計算していくかなど、数量を扱うにはとても良い題材にできると思いました。ロボットの制御もセンサーをトリガーにした制御から一歩踏み出せますしね。

なので、PID制御を覚えて欲しいではなく、それを使えるくらいになって欲しいということです。用語に関しても、最初は全く扱う気はなかったのですが、その言葉を理解することが原理の理解につながるなと思い、後付けになりましたが追加しました。

最初からこのレベルを求めるわけではないです。動けば十分なうちはそれで良いです。

小中学生向けだから結局はロボット制御の導入としてどうしていくかになりますが、この制御がわかって使えるのは教室の一つのゴールでいいかなと思っています。学問として高校・大学できっちり学んでもらって、それを活かすかどうかは仕事や趣味次第で。言葉や何ができるかを経験しているだけでも、そのイメージは大きく変わると思います。

理系文系は、個人的にはどっちでも良いと思いますが、従来の理系に求められているように、自分の頭で考えて問題にチャレンジする、そんな姿勢を身につけるための土台を作っていきたいと改めて思いました。