RoboRAVE KOBE (第1回)に行ってきました

2023年10月8日 RoboRAVE KOBE大会に行ってきました。その感想です。

https://roborave-kobe.org/

協賛という立場ですが、必要以上に偏った意見にならない様に書いていくつもりではあります。(とはいえ、良いことが多すぎて偏りますが)

参加のきっかけ

参加のきっかけは、大学時代の同じ研究室の先輩より話をいただき、ショーケイシングの存在と、それほど負担なく参加できそうな内容だったので、喜んで飛びつかせていただきました。

負担なくというのは実はとても大切で、WROに関しては、あれに出るとなると教室に色々と迷惑をかけてしまうレベルで私が拘束されてしまうことと、練習の時間も必要ですし、キットも足りなくなります。これは別で書こうと思いますが、ロボット競技やイベントの一つの問題になっていると思います。

そして、協賛という形で参加させていただくという、このような小さな教室でも良いのですか?という感じですが、審判や設営は慣れてます、ということで喜んでお手伝いさせていただきます、という運びになりました。

枚方ロボットプログラミング学習塾からは、Showcasing(ショーケイシング)に1チーム、a-MAZE-ing Challenge(アメイジングチャレンジ)に1チーム、という形で出場させていただきました。うちの教室都合で、ショーケイシングは中学生が一人で、アメイジングも中学生が混ざるので表彰なしのチャレンジ枠的な扱いでしたが、快く受け付けていただきました。

https://roborave-kobe.org/rules/

Showcasingは神戸大会独自の競技で、自作ロボットの展示という、うちの教室としてはちょうど良いタイミングで転がってきた話でした。

同時に、新しくて重たい課題が浮き彫りになったのですが、それはまた違うところで。

道中

当日の天気はあいにくの雨。枚方から神戸は電車で行きました。それ自体は良いのですが、それぞれの競技用のロボットとスペアパーツを持ってとなると、なかなかの荷物でした。まとめ方も判断も間違ったので、不審者では?という荷物を抱え・・・

ここに乗っている赤いテープでぐるぐる巻きになった荷物を持って・・・(行きは縛り方が甘くもっと広がっていました)

この辺の機材の移動は今後の課題ですね。

予定時刻通りについたと思いますが、すでに子供達は到着済みで、自分が一番遅かったようです。

会場の雰囲気

小学生がメインの大会になるので、うちの教室の子達が少し大きく見えました。展示を抜くと10チームくらいという感じでしょうか。WROとかと比較すると規模は小さくなりますが、雰囲気は柔らかく、初めてチャレンジするイベントとして捉えると、参加のしやすさも難易度も、どちらも適切な大会だと思います。

練習

開会の挨拶が終わると、練習の開始となりました。

うちの生徒たちも、始まるまでは緊張していた感じですが、ロボットを動かし始めるといつもの感じになっていくのは良いですね。実はほぼ初対面にも関わらず、ロボットを通じてすぐに意気投合できたようでほっとしました。バランスが狂う心配はなかったのですが、お互いに一歩引き合ったらもったいないなと思っていましたが杞憂でした。

練習と本番の環境はどうしてもずれてしまうので、如何に本番の環境に合わせるか、というのはロボット競技においては必須技能だったりします。今回作って持って行ったロボットでは、木の板を安定して走れなかったそうで。原因がキャスターにあるということまでは掴んでいたようなのですが、

「ちゃんと走れません!」というヘルプが。

WROだとこういう問題にも何も言えないのですが、大会に慣れていないと仕方ないですね。とは言え、こちらも素直に教えるようなことはしません。

「他の支え方知ってるやろ?」

といことで突き放しました。流石にこれをクリアできないようであれば、初級コースから出直しレベルの話です。本番故のテンションで考えられないというよりは、普段の弱点が出た感じですね。選択肢を増やせないうちは、まだまだです。困った時こそ落ち着いて頭を使いましょう、と言い続けても、実際に経験をしないとわからないものですしね。

何もかもが良い経験になっていきそうです。

若干車体が前傾姿勢になったそうですが、キャスターを作り直して走れるようになったようです。

a-MAZE-ing Challenge 本番

練習では成功率も高いところまで持っていけたようですし、本人たちはショートカットを思いついたとドヤっておりましたが、案の定と言いますが・・・

競技は2分で成功したら残りがボーナス点になるという感じでした。

その中で挑戦的な走り方にこだわったうちのチームは見事に玉砕していました。ギリギリを狙いコースアウト、そして100分の1の位の回転数制御を毎回行うという、授業ではそれをやっても時間の無駄、と言い続けたことを・・・

ロボットがズレる要因は色々とあります。競技の場合、ロボットを置く位置や向きでもその後の動きが変わってきますし、今回は、それを制御するセンサーの利用は禁止されています。また、タイヤにゴミがついたり手の油がついても変わるはずです。あとは、モーターの個体差や無理のさせ方でもぶれます。うちのチームは、見ている限り全てダメな選択を取っていったようです。

経験と反省がどれほど次に生きるかですね。子供達の大会なので、その場では具体的なアドバイスしませんでした。自分で気付けないのであればそれまで。いっそのこと、次に活かせるくらい盛大に失敗しても良いのです。

ということで、反省会決定となりました。

気持ちいいくらいに、日頃の調整に対する考えや、原因を突き止める視点の甘さが悪い方に出ましたね。なんとなく走らせている限り、ここから先の成長はないでしょう。膿を出し尽くしたと思えば、あとは成長あるのみ。

こういうことも全部ひっくるめて、本当に良い経験をさせてもらえたと思います。それをさらに明確にしてもらえたのが、次の話題。

強豪チーム

今回の神戸大会、1チームだけとんでもないレベルのチームが出場されていました。WROでも活躍していた子達のようです。教室名を聞いて、ああ〜〜〜と納得。確か今年ぶっちぎってたチームがあったはずで・・・と思っていたらそこの子達だったそうです。

最初は、走りを見てふわっと止まっている?という衝撃から始まって、ブレが少ない走り方。そしてMモーターとあのタイヤの組み合わせは・・・と。

今になって思えば、この時点で世界経験者だと気づくべきでしたが、自分自身も綺麗な走りするなぁ、程度で見ていて、でもギリギリいい勝負ができるんじゃないかと甘い見積もりをしてました。速さでも負けていると聞いて、終わったな、と思いましたけど。

結果はいい勝負どころかダブルスコアくらいの差がついてました。

練習中からお互いに敵はここだなという感覚もあったのだと思います。少しずつ会話が広がっていき、競技終了時にはがっつり一緒になって話が盛り上がっていました。

完全にこのチームの方が上手で、それなのに惜しみなく色々な質問に答えてくれていて、人としても技術者としてもかなり先を進んでいる子達に出会えたことが何よりも大きな収穫だったと思います。勝って奢ることなく、情報交換や交流の大切さを知っている子達。本当に素晴らしいチームでした。

まだまだうちのチームだとライバルにすらなれない雲の上の存在ですが、彼らも最初からとんでもないロボットを作れたわけではないのです。積み重ねてきた濃さの違いに気づいて、また基本から考え直せるのであれば、うちの子たちもまだまだ伸びると思います。いつか同じ土俵に立つところを見てみたいですね。

個人的には、完全にこの子達のファンになっています。次、どの大会に出て、どんなロボットを作ってくるのか非常に楽しみです。

その他

SumoBot Challenge (スモウボットチャレンジ)

うちからは出ませんでしたが、相撲対決もありました。私は審判としてその前半の得点係をしていました。ルールは簡単で、押し出すか転がすと勝ちなのですが、基本は押し出しで決着がつきます。相手の駆動用のタイヤを浮かせてしまえばあとは滑っていきますからね。そのための工夫が見ていて興味深かったです。段ボールやコルクの様な素材を削ったりしていて、使えるものはなんでも使うというのが色濃く出ている競技でした。

地面についても良いから画用紙を滑り込ませるのも、確かに・・・と。

番外編として、審判ついでに実況を試みましたが、一瞬で決着がつくのと、語彙力の問題で難しかったです。チーム名とロボットの形が一致してないと。(何を頑張ろうとしているのかは別)

ここでは奈良から来られたという子に少し話を聞かせてもらいましたが、ロボットにかける思いが熱く、将来が楽しみな子でした。情報を収集してそれを自分のものにしてという気持ちや、前回からのリベンジの思いなど、審判を降りてからは個人的に応援してました。最後はちょっと残念でしたが・・・。来年も来てくれると良いなぁと思っています。

Showcasing(展示)

展示の部は小学生の部と中学生の部で分かれていました。そして中学生の部からはうちのチームと合わせて2チームのみ。一騎打ちです。それもLEGO同士です。そして、その教室は・・・

こっちでも負けて当然という差だったので、それ自体は気にしてませんが、もう少し相手の子達と話せれば良かったなぁというのが反省です。昼から予定が入っているのを知っていれば。

こちらの反省点は山ほどありすぎて、どう反省しようかがまだ決まっていません。それくらいだったので、結果は当然として、出直すかどうかも含めて再検討ですね。これに関しては展示の本番よりも、それまでの道中をどう振り返るかです。

小学生の部の作品はKOOVによる作品が並んでいて、華やかでした。見た瞬間何を模して作ったのかイメージしやすく、そしてカラフルで半透明なブロックは綺麗で想像力が掻き立てられますね。細かな動きはどれほど得意なのかを私がまだ理解できていないので評価不能ですが、あの辺もうちの生徒には触ってもらいたいですね。

また、私を誘ってくれた先輩の操縦+部屋の様子がわかるロボット。うちの生徒も興味を持ってくれた様で、色々と質問をしていたようです。掃除ロボットには必要な機能ですしね。そういう視点で話を聞かせていただけるのも教室だけではなかなか実現が難しいことでした。

雑感など

第1回ということで、他と比べるとまだまだ手探りな感じやまとまってないだろうなということも感じましたが、この神戸大会単体で見ると、とてもいい雰囲気で、良い経験をさせていただけたイベントでした。規模も大きければ良いというわけではないですしね。交流を考えると良い感じだったと思います。

特に開会式での大会委員長の言葉に、「みんなでレベルアップしよう」という言葉が素晴らしく、そしてそれを体現できるチームがいてくれて、良い刺激になったと思います。

このような場で子供達の様子を見ていると、この分野に関わる大人たちは、この教育の行末をもっと本気で考えてもっと盛り上がる様に作っていかなきゃいけないなと、改めて感じました。

私自身も色々と得るものが多く、外の世界に出るという価値を改めて認識しなおしました。内側からの印象に惑わされず、しっかりと自分の目で見たものを信じて、それを子供達に返していける様に。

今回は、私自身もどこまでサポートできるかわからなかったので、高学年組しか声をかけれませんでしたが、次回はみんなを連れていきたいですね。

結果は二の次と思っているのですが、一応

この様な大会がそれぞれの地域で作られていくことが、ロボットプログラミングの環境を広げていく一つの要素になるんでしょうね。WROやFLLも良いと思いますが、あれはその先の話ですね。そして、今回参加してくれていた子達が他の大会にも出て、あれ?あの時の・・・とかでも輪が広がっていき、交流も深まっていく。ただ仲良くなるわけではなく、それぞれの技術や考え方を惜しみなく交換しあって、さらに上を目指していく。

勝手にドラマが出来上がっていますが、うちの子達がもっと頑張って、来年のどこかの中学生大会で、再開できて、その時には良い勝負をできれば、それだけでまたぐんと成長できると思っています。

そのような成長も、手軽に参加でき、十分に楽しめチャレンジできる大会があってこそだと思います。ピリピリした大会もそれはそれで、ですけど、「みんなでレベルアップ」は本当に素晴らしいと思います。

イベントの良さは、直接的なロボットに対する学習ではなく、このような付随してついてくる価値が大きいと思います。普段の勉強では絶対に経験できない貴重な体験で、この様な体験に基づく成長が大人になった時の人とのつながりの大切さなどに繋がっていくのではないでしょうか。ロボットプログラミング以外の世界でもあると思いますが、技術の向上という答えがない点について、普段は全然違う活動をしている子達、競技ではライバル、ただ目標が同じということで一瞬で打ち解け合うのは改めてこの分野の価値の一つだろうなと、改めて自信に変わりました。

私個人的には、このような雰囲気の大会を作り上げていただいた主催者様をはじめ協賛の方々、そして声をかけていただいた先輩には感謝しかありません。私自身も協賛という身でありながら僅かしか尽力できなかった気がしますが、今後も何かできることがあれば喜んで馳せ参じたいと思っています。

(改めて、あの名前の並びに入って良かったんでしょうか、と思いますが・・・)

というくらいこれからも大切にしたい素晴らしいイベントでした。第2回、楽しみにしています。